オーボエダモーレとコールアングレの違いを徹底解説

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オーケストラや吹奏楽で耳にする低めの柔らかなオーボエ系の音について、何がどう違うのかを整理したい方に向けたガイドです。

検索の多いオーボエダモーレコールアングレ違いという疑問に正面から向き合い、名称、管の調性、音域、サイズ、ベル形状と音色のつながりまで、演奏や選定の判断に役立つ要点を順序立てて解説します。

初学者にも読み進めやすいように、専門用語は丁寧に補足し、章の冒頭にナビゲーションを置いて迷わない構成にしています。

この記事でわかること

A管とF管の基礎と移調の考え方が分かる
音域と音高の関係が図表で理解できる
サイズやベル形状が音色に与える影響を把握できる
用途に応じた楽器選択の観点が身につく

オーボエダモーレとコールアングレの違いの要点
オーボエダモーレとコールアングレ違いの比較

オーボエダモーレとコールアングレの違いの要点

引用：https://www.yamaha.com/ja/musical_instrument_guide/oboe/trivia/trivia004.html

オーボエダモーレとコールアングレの違いの要点

定義と名称の整理

オーボエ・ダモーレはオーボエ属の一種で、A管に調律され、標準的なオーボエより短三度低い音高で響きます。名称はイタリア語で愛のオーボエを意味し、柔らかく甘美な音色がイメージと合致しています。

コールアングレはフランス語の呼称で、英語ではイングリッシュホルンと呼ばれる同一の楽器です。F管に調律され、オーボエより完全五度低い音域を担います。呼称が複数あるため混乱しがちですが、コールアングレとイングリッシュホルンは同じ楽器を指します。

管調と移調の基礎

管調はその楽器が基準とする調を示し、演奏時の移調関係を決めます。A管のオーボエ・ダモーレは記譜より実音が短三度下に、F管のコールアングレは記譜より実音が完全五度下に響きます。

この性質により、同じ記譜でも実際に鳴る高さは異なり、合奏では各パートの役割や重なりが変わります。移調の理解は、吹奏者の持ち替え、編曲、スコアリーディングにおいて要になります。

音域と音高の関係

両者の音域は、オーボエより低音寄りに配置されます。オーボエ・ダモーレは中低音の甘さと柔らかさが際立ち、旋律を滑らかにつなぐ場面で映えます。コールアングレはさらに低く、内声や叙情的なソロで温かい陰影を作ります。

書き譜と実音の対応早見表

楽器	管調	実音のズレ	例：記譜Cの実音
オーボエ（参考）	C	なし	C
オーボエ・ダモーレ	A	短三度下	A
コールアングレ	F	完全五度下	F

表の通り、同じ記譜でも実際の響きは異なります。これを把握しておくと、転調や持ち替え時のピッチ感が安定します。

サイズと管体の長さ

オーボエ・ダモーレは標準オーボエより長く、コールアングレよりは短いサイズです。管体が長くなるほど共鳴管としての容積が増し、低音域が充実します。

コールアングレはさらに長い管体を持つため、落ち着いた低音と広がりのある中音が得られます。サイズ差は取り回しや指の開きにも影響し、持ち替えの快適さやスタミナ配分にも関わってきます。

ベル形状と音色の特色

オーボエ・ダモーレは洋ナシ型の丸みを帯びたベルを採用し、角の取れた柔和な倍音を生みます。コールアングレは球根形のベルが特徴で、こもり過ぎない適度な温かさと遠達性が同居します。

ベル形状は音の指向性や立ち上がりにも関与し、独奏か内声か、屋内か大編成かといった場面の相性を左右します。

オーボエダモーレとコールアングレ違いの比較

引用：楽天

オーボエダモーレとコールアングレ違いの比較

オーボエダモーレの特徴

A管により中低音域の温かさが際立ち、オーボエの華やかさとコールアングレの落ち着きの中間に位置づけられます。旋律線がなめらかに流れるため、室内楽や合唱とのブレンドで魅力を発揮します。

音色は甘く穏やかで、長いフレーズでも耳に疲れを与えにくい傾向があります。持ち替え時には指使いの類似性から移行しやすく、音程の安定には息の方向性と支持を丁寧に整えることが鍵となります。

コールアングレの特徴

F管による低めの tessitura が内声の支えとして機能し、叙情的なソロで厚みのある陰影を与えます。球根形ベルの効果で柔らかい輪郭を保ちながらも、空間に溶け込む遠達性があります。

持ち替えでは管体の長さと重量感に応じたフォーム調整が求められ、リードの反応を活かすための息の圧力配分が要点になります。アンサンブルでは弦低音やクラリネット中音との相性がよく、和声の基礎を穏やかに彩ります。

オーボエとの音高差の理解

オーボエはC管で記譜と実音が一致します。一方、オーボエ・ダモーレは記譜より短三度、コールアングレは完全五度下に実音が出ます。

例えば記譜Cを吹いた場合、オーボエ・ダモーレはA、コールアングレはFとして響きます。この差は、合奏時の音程感や和声の役割に直結します。持ち替えの際は、耳で実音の位置関係を掴み直すことで、移調譜への不安が和らぎます。

具体例で捉える移調感

記譜の長三和音を吹くと、オーボエ・ダモーレでは実音が短三度下がった位置で構成されます
同じ和音をコールアングレで吹くと、実音は完全五度下がった構成となり、和声内でより低い役割に落ち着きます

呼称と別名の使い分け

コールアングレはフランス語、イングリッシュホルンは英語の呼称であり、どちらも同じ楽器を指します。表記揺れは資料やスコアで頻出するため、読み替えに慣れておくと検索や資料調査が円滑になります。

演奏現場では、国や出版社によって記譜の略号も異なるため、パート譜の凡例を確認しておくと誤解を避けられます。

サイズと音域からの選択

曲が求める音域と音色の質感で選ぶのが実践的です。中低音の甘さと透明感が要るならオーボエ・ダモーレ、より低く温かな陰影と内声の厚みが必要ならコールアングレが適しています。

編成や響きの密度も判断材料です。

小編成や室内楽で旋律を柔らかく浮かせるならオーボエ・ダモーレ、大編成で内声を支えたり叙情的なソロを担うならコールアングレが合目的的といえます。

主要スペック比較表

項目	オーボエ・ダモーレ	コールアングレ
管調	A	F
実音	記譜より短三度下	記譜より完全五度下
サイズ	オーボエより長い	ダモーレよりさらに大きい
ベル形状	洋ナシ型	球根形
音色傾向	甘く柔らかい中低音	温かく叙情的で落ち着く
役割の傾向	旋律の滑らかな歌わせ方	内声支えや叙情的ソロ